風土を旅する

サンゴに創られた沖永良部島の暮らし

一見何のつながりもなさそうなもののあいだに、深くもぐってみると実は密接な関りがあるーー沖永良部島の暮らしをたどってみるとそんな発見の楽しさがあります。

農の島沖永良部

沖永良部島をあえてひと言であらわせば、農業の島。
花卉栽培がさかんで、島を代表する花テッポウユリは「えらぶゆり」のブランドで年間200万本され、日本一の産地になっています。

また、沖永良部島は日本一早いジャガイモの収穫地でもあります。
ジャガイモといえば夏の北海道がまっ先にうかびますが、沖永良部島ではその気候を活かし2月~4月にかけてが収穫期となるのです。

南の島らしく果物の栽培もさかんで、夏場はマンゴー、冬は島みかんが出回ります。

こうして育てられた野菜やくだものは、しばしばおすそわけとして島民の手から手へ行き交うそうです。

井戸と洞窟

沖永良部島の暮らしでもう一つ特徴的なのが、井戸や地下を流れる河川が重宝されてきたこと。
島の水道事業は1960年代前半から始まりましたが、その後も井戸は集落の交流の場となりお祭りの会場や子どもたちの遊び場として親しまれています。

瀬利覚集落にある”ジッギョヌホー”(ジッキョは瀬利覚の呼び名、ホーは川という意味)
今なお残る地下河川住吉府川(すみよしくらごう)から見上げる階段。水くみは女性の仕事とされ、日々女性が集まる社交の場でもありました。

島の土壌と暮らしのかたち

農業と地下水、一見ばらばらのことがらに見えますが、両者をつなぐカギは沖永良部島の土壌にあります。

沖永良部島はサンゴ礁が隆起してできた島です。その多くの土地は琉球石灰岩におおわれています。
琉球石灰岩はすき間が多いのが特徴で、水が浸透しやすいという性質を持っています。
だから雨水は地中にしみ込みやすく、それらが地下を通って地下河川や井戸水になるのです。

また琉球石灰岩が数百万年という長い時間をかけて風化するとミネラルが豊富な赤土になります。
こうした赤土は農業に適した土壌で、ジャガイモや花など農業がさかんな理由もここにあります。

沖永良部島で10年ほど前から始まった比較的新しいアクティビティとして、洞窟探検(ケイビング)があります。
これも琉球石灰岩でできた島の地下がしみ込んだ雨水・地下水に侵食されてできたもの。

サンゴ礁由来の土地という島の成り立ちが創ってきた沖永良部島の暮らし、ぜひご自身で読み解きにいらしてみて下さい。

サンゴに創られた沖永良部島の暮らし 行程例

1日目 各地発→沖永良部島到着

観光タクシー・レンタカーで島の井戸・洞窟見学
・住吉暗川
・ジッキョヌホ
・昇竜洞

コチンダホテルへ移動(泊)
2日目 オプション:沖永良部島漁協で朝セリ市見学

レンタカーまたはサイクリングで沖永良部島の農めぐり
・和泊町実験農場または沖永良部花き専門農業協同組合
・ゆうゆう市
・まごころ製糖
・無人販売所
※ガイドの同行や農業体験もオプションで追加できます

コチンダホテル(泊)
3日目 オプション:ケイビング体験

沖永良部島発→各地へ
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