風土を知る

そこに海がある暮らし

いつもそこにあると、かえって疎遠になる場合もあるし、何気なく親しむ場合もあります。
徳之島で暮らす方にとって、海は後者、日常の中になじんでいる存在のようです。

朝や夕方、集落の海沿いを歩くと、決まって散歩したり海を眺めたりされている方がいらっしゃいます。寄せては返す波を見ながら過ごすひと時。毎日繰り返されるその時間はご本人にとってどんな時間なのでしょう。

徳之島に移住して1年の方は、月曜日の夕方、よく島の南部の犬田布(いぬたぶ)で海にしずむ夕日を眺めるそう。
「雑音が全部消えて、波の音だけが聞こえて、体中の力が抜けてどっしりと落ち着く感じ」がして、1週間のスタートを切るエネルギーになるといいます。

また、誰にでもひらかれている海は、近くに住む方々にとり世代をこえて共に話題にできる接着剤のような存在でもあります。

例えば磯もの獲りは、出かけていく時には「深場に気をつけて」と声をかけられ、獲れたあとは獲物の調理の仕方をいろんな方がアドバイスしてくれる、コミュニケーションのきっかけになっているのだそう。
もちろん獲れた物をおすそ分けすれば、それも交流の機会になります。

肩ひじはらずに海が暮らしの中に自然にあるーーそんな日常が徳之島にはあります。

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